2013年11月22日

サッカーで世界一盛り上がる試合と9歳の男の子

サッカーの世界でもっとも熱いダービーはどれか、そんなランキング何も意味は無いけれど、それでもオフシーズンの間、ネタに困ったメディアがラインキング形式で発表する。

あまりサッカーを見ない人だと、スペインのバルセロナとレアルマドリーが戦う試合(エルクラシコ)だとか、イタリアのACミランとインテルが戦う試合(ミラノダービー)だとかをイメージするかもしれないが、そんな試合を抑えて毎回一位を獲得するのが、スコットランドの両雄セルティックとレンジャースが戦うオールドファームだ。グラスゴーの美しい街並みを舞台とするこのダービーマッチは、カトリックとプロテスタントという宗教対立もあって、長い間、もっとも熱い試合として語り継がれてきた。

1971年1月2日、レンジャースのスタジアム、アイブロックスで行なわれたオールドファーム。スコアレスドローのまま後半に入り、そのまま引き分けかと思われた終了間際の89分、セルティックのジミージョンストンが点を入れる。レンジャースのサポーターは意気消沈、憎きセルティックの勝利を目の当たりにする訳にはいかないと多くの人が席を立ち、出口をめざした。そこで奇跡と悲劇が起きる。レンジャースのFWコリンステインが同点ゴールを入れたのだ。帰ろうとしていたサポーターは一斉に席に戻ろうとし、多くの人が将棋倒しになった。この事故で66人の若者が死亡。その中で最も若かったのは9歳の男の子だった。イングランドのリバプールから、はるばる観に来ていた。

このアイブロックスに行ってきたので、写真を載せておく。





メインスタンド(ビルストゥールスタンド)の前には、当時の試合でキャプテンであったジョングレイグの銅像が立てられている。そして、その足元には亡くなったた66人の名前が刻まれている。







僕が行った時は足元に花束が添えられていた。


この後、「レンジャーズとセルティクの合同チーム」vs「スコットランド代表」のチャリティーマッチがハムデンパークスタジアム (ロンドン五輪スペインの奇跡のスタジアム) で大満員の中、遺族へのチャリティーマッチが行なわれた。

英国の多くのスタジアムで立ち見が禁止されている理由として、ヒルズボロの悲劇とテイラーレポートが紹介される事が多いと思うが、このアイブロックスの悲劇も決して無視はできない。また、1902年4月5日、スコットランドvsイングランドの試合でも、当時木造であったスタジアムの崩壊により、25人の命が亡くなっていることも付け加えておく。


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